2013年5月23日木曜日

パッケージデザイン:深澤直人さんのフルーツジュースパッケージのおはなし。

おはようございます。爽やかな朝ですね!初夏を肌で感じています伊藤です。

今日(昨日)は水曜日でした!なんとなく今の所一番楽しい日です。
何かの調査によると人間は水曜が一番辛さを感じるのだそうで。
そんな中で楽しいと思えるのはとても恵まれたことですね。幸せをかみしめて頑張ろう。


ところで本題に入りますが、改めてブログをざーっと見返してみて、デザインブログなのにろくな事かいてないじゃないのよという事で、今回はちゃんと、とあるデザインの紹介をします。
ジョセフ以来だから2回目!!…まだ2回目か。
今回はパッケージデザインです!私の好きなパッケージデザインです!
ちょっとはグラフィック科らしくなってきましたね!それではいきましょう。




まずみなさん、
パッケージデザインと聞いてどんな物を思い浮かべますか?
そもそもパッケージデザインとは何でしょう。どんな役割を果たすのでしょうか。



まあ考えつくところとして、
 ・商品がどんな物なのかを説明する。
 ・商品の雰囲気や魅力を伝え、購買意欲を抱かせる。
見た目というところで思いつくのはこのようなところでしょうか。
あるいは、
 ・[パッケージのデザイン=梱包物のデザイン] なので、
 例えばペットボトルの様にデザインによって利便性等の付加価値をつける、とか。


固い事を述べましたが、だいたい皆さんがパッケージデザインと言われて想像する物は、
 ⑴商品名が入っている
 ⑵どんな物か説明文が入っている
 ⑶箱や容器
 ⑷わりと目立つ、あるいはその商品の雰囲気に合っている。
だいたいは当てはまっていると思います。


これらはわりと重要な要素ですね。梱包物なので⑶はまあ当然としても、⑷は客を引き止めて手にとらせるのが目的なので外せません。
⑴⑵は商品の多くが梱包物で中身が見えない(ボトルを除く)ので、このパッケージで消費者に中身がどんなものかプレゼンをしなければなりませんから、力が入るでしょう。

ロゴが色々工夫されていますよね。色々文章書いてありますよね。
目的の物を見つけたけど、箱には何も書いていない。
そんな得体の知れない箱を買う人はいないと思うので、皆さん必死に文で説明します。
⑴⑵があってこそ、魅力が伝わって購入に至る、ということですね。



ですが、もしそれが、いっさい説明がなくても魅力を伝えられるとしたら。





あります。







 プロダクトデザイナー、深澤直人さんのフルースジュースパッケージです。
割と有名なお方なのですが、誰やねんという方もいらっしゃると思います。





iidaのデザインケータイINFOBARのデザイナーと言えばわかりやすいでしょうか。
 


とにかく、この深澤直人さんがデザインしたフルーツジュースパッケージ。
一切なにも語っていません。印字されているのは賞味期限のみ。





奥ゆかしいほど何も語りません。なんとも謙虚なパッケージですね。
にもかかわらず、圧倒的な存在感を放ちます。


何も消費者にプレゼンしていません。
人で例えるならば、自己紹介のときに好きな物やら趣味やらを言わず、「こういうものです!私自身を見て!」とジャケットを脱ぎ捨てて終わるようなものでしょうか。


これの凄い所は、何も語らないのに既存の商品より生々しさを感じさせ、消費者自身の想像力を掻き立てて購買意欲をあおる、というシステムが成立している所です。



一般的なパッケージならば文を使ってOO産の果物を使っているからどれだけおいしいだとか訴えて、消費者を誘導させますよね?
これは何もしていません。にもかかわらずプレゼンをした商品より美味しそう、生々しさを感じる。通常品の何倍も魅力を伝えています。
文だと美味しさの想像に上限がかかりますが、こちらは逆にどんな想像を、
どこまでも出来るわけです。



ちなみに手に取ったときにより一層生々しさを感じられるよう、
 キウイには独特の毛羽立ちを
 イチゴにはつぶつぶが強調され、みずみずしさを
 バナナは特殊な素材と加工で本物の質感を再現しています。
生の果物を手にとったかのように、素材に工夫が凝らされています。
生絞りの美味しさを手触りで間接的に脳に訴えかけている訳ですね。



そしてなにより壮絶なインパクト。ほんとうになにもしないからこその。
個人的には通常パッケージの圧倒的な敗北だと思います。



正直味は飲んだ事が無いのでわかりませんし、ちゃんと文で説明があった方が良いという声もあるかもしれませんので公式的な良い悪いは言えないですが、
この「消費者の想像力を利用して、能動的に買わせる」という仕組みを作り出したこと。
これこそが最も賞賛されるべきポイントではないでしょうか。



深澤直人さん、このほかにも素晴らしいデザインの商品を多数手がけています。
興味を持たれた方は是非!是非検索をかけてみてください。





今回はこんなところです!
毎日更新のはずが週2更新になっている!クリアできている人を見習います…
もういっそまとめて下書きして毎日ちょっとずつ更新…なんてことも考えましたが、きっとそれじゃ意味ないんだろうな。
毎日毎日デザインの事を考えて、毎日それについて考察して文章を練るって事が大事。
おそらくそういうことでしょう。
でも毎日考えていると少しずつ変わって見えますよね。
今まで気づかなかったものに気がつくと「効果でてきたかな」と感じます。
わざわざ展覧会にいって感じるんじゃ無くて、慣れてしまった身近な物の中で気づくこと。
もっともっと、日常の中にアンテナを巡らせていけるようになりたい。


それでは以上で終わり!レッドブル愛飲中の伊藤理沙でした!

2 件のコメント:

  1. 僕も好きです。深澤さん。人間の無意識の部分に鋭くデザインをされるかたですね。
    デザインにはアイデンティティを作るというアプローチもあります。バナナジュースといってもどこのどんなバナナジュースか?それが各メーカーのバナナジュースのアイデンティティ。さしづめ深澤さんはバナナジュース自体のアイデンティティを確立されたんでしょうね。観察が鋭くていいですよ。楽しみにしてます。

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  2. コメントを頂けて感激しています!!!
    今まで周りに深澤さんを知る人が少なくてしょんぼりとしていたのですが、
    入学してから賛同してくれる方が多くて非常に嬉しいです…
    初めてこれを見た時は心が震えました。
    商品の垣根を飛び越えた、ジャンルのアイデンティティの確立。すごくしっくりくる表現です…。成程。

    見ている方の声を聞けてとてもためになりました。
    お忙しい中有難う御座います!これからも頑張ります、宜しくお願いいたします!

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